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【お知らせ】

米コダック 連邦破産法11条申請

 やはり,こうなりましたね。
 米コダックが連邦破産法11条を申請しました。
 米シティ銀行からつなぎ融資(DIPファイナンスと呼ばれるものだと思います。)を確保していると報道されていますから,当面の事業の継続は大丈夫なのでしょう。
 しかし,今後の再生の道筋がどうなるのか。
 日本の企業の民事再生でも同様なのですが,再生会社の事業全体を単独で継続して再生する見通しが立たない場合,また事業全体をそのまま引き受けてくれるスポンサーが見つからない場合には,再生可能な事業のみを切り出して譲渡し,再生困難な事業は思い切って廃止する可能性があります。
 そうなると,コダックのフィルム事業はどうなるのでしょうか。写真用フィルムにしても,映画フィルムにしても,愛用者はいると思いますが,これだけデジタル化が進んでしまうとビジネスとしてはもはや再生できないかも知れませんね。フィルムの生産設備やこれに関する知的財産権がバラバラに切り売りされ,研究開発・生産に関わる人材が流出してしまうと,コダックカラーのフィルムは市場からなくなってしまうかも知れません。そうなると,残念ですね。
 かつてAGFAや日本のさくらカラーが辿ったように,別の会社にフィルム事業が譲渡されて存続する可能性もありますが,それでも上手くいくかどうかは分かりません。市場縮小が明かなフィルム事業の買い手がそう簡単に見つかるとも思えないです。
 サイモンとガーファンクルの歌にもなった「コダクローム(外式リバーサルフィルム,コダックだけが製造していました)」は数年米に販売停止,その後現像も出来なくなったと記憶しています。あの独特な深い色調と濃い赤色を好んで写真表現をされていたプロ・アマチュアの写真家がかつては多くいたのですが,そういう人たちの多くもデジタルに移行したということです。
 コダックの今回の連邦破産法申請は,技術革新がビジネスの外部環境を大きく変え企業経営の中核ビジネスに大きく影響を与えた結果,法的手続きによって企業再生する必要が生じた良い例でしょう。
 今後,日本でもこのような再生の道を歩むことになる企業が沢山出てくるのかも知れませんね。弁護士としては,この分野の勉強も必要だと痛感する次第です。

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